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あの夏、初めて石垣を訪れてから随分時間が経った。僕はダイビングガイドの仕事を経てカメラマンとなった。昨年の夏に雑誌の仕事で石垣に行くことが決まった時、本当に心の底から嬉しかった。
でも、やっぱり一発ロケという緊張感と、昔お世話になった人達に会えるという嬉しさと、懐かしくどこか恥ずかしいという気持ちがグチャグチャにこんがらがって少々複雑な気分だったけど、久しぶりに潜る石垣の海はやはり素敵な海だった。
ドボンとエントリーすれば生温かい水がスーツに滲みこんで来て最高に気持ちがいい。マンタは景気良く出てきてくれるし、バラクーダなんかも群れで出るし。来島直前に不覚にも夏風邪をひいてしまい、潜る度にサイナスが割れるほど痛かったが、もはやそんなことはどうでもいい感じ。石垣の空気、匂い、水、生物は全て懐かしく、まだまだ子供だったあの頃の思い出が鮮明に浮かび上がった。
初日を潜り終えて夕方、市内をテクテク歩いて、ある人に会うために、あるショップを目指した。数年ぶりに会うその人は「おう!雑誌見てるぞ、頑張ってるなっ!」
昔と全く同じ笑顔で迎えてくれた。その一言が僕にとって、何よりも本当に嬉しかった。
今でも僕とって石垣島は、本当に色々な思いが詰まった、憧れの島であり思い出の島なのです。
中 2004/7 ブラックフィンバラクーダ 屋良部崎