沖縄本島地方も真冬を迎え、最低気温が13度付近、水温も20〜23度と冷え込む様になってきました。ここ久米島はここからハンマー、マンタ、そしてザトウクジラと、超大物が闊歩する海へと変貌します。別の意味で年間を通じて最も熱いシーズンといえるでしょう。
その先陣を切るのは水温が25度付近まで落ちる11月後半からのマンタ達です。GW明けまで頻繁に観察することの出来る彼等たちの訪れで、久米島のガイドはいよいよ冬のシーズン到来を、静かな興奮と共に迎えるのです。そして23度まで落ち込んできた12月中旬からは、外海の潮通しの良いポイントにおいて、いよいよハンマーが回遊を始めた後、年明けをまって真打のザトウクジラが近海にやってくるのです。この冬場の超大物シーズンのピークは1月後半から3月初旬まで、まさに今なのです。
マンタは潮のたまりの穏やかな海域の水面付近でほぼ毎日、多い時は8枚以上の群れをつくり、スキンダイビングで撮影を続ける私たちなどお構いなしでプランクトンを搾餌するシーンが観察できます。
ハンマーは、潮通しの良い外海、特にトンバラなどで群れを作って回遊しています。妊娠している個体が多い為か、体躯はドラム缶のように太く、まるで恐竜を思わせ凄い存在感です。ただダイバーの呼吸音泡などを基本的に嫌いますので、見つけた時のダッシュ力が勝敗の鍵ですね。
ザトウクジラは例年数十頭が近海で繁殖の為にはるか北から南下してきます。年々数は増えているようで、毎年顔を見る個体も多く、その年最初のブローを見たときの嬉しさといったらもう・・・1年ぶりの親友との再会のように嬉しいものです。
大物だけではありません。冬場はウミウシ、甲殻類も非常に豊富な季節ですので、5mmから10mを越す生き物まで振り幅はとても広く、海の大きさ、多様さを濃密に感じることの出来る季節でもあります。
この時期のボートダイビングのコツは、とにかく船上での保温に重点を置くことですね。寒くなってからでは遅いので、ボートコート、キャップ等で、風と飛沫を効果的にさえぎってください。それはダイビング中の快適さに直結します。